災害が起きたときに確認したい情報は、一つではありません。
地震や津波、警報は気象庁、災害ニュースはNHKなどの報道機関、避難所や避難情報は自治体、河川の状況は国土交通省、停電は電力会社、断水は自治体や水道局と、必要な情報はさまざまな場所に分かれています。
つまり、災害時に困るのは、単に「情報がないこと」だけではありません。
情報は公開されていても、どこを見ればよいのか分からないことがあります。
そこで、災害が起きたあとに何を確認すればよいのかを整理する補助ツールとして、「災害あと確認ナビ」を作りました。
このツールは、災害情報を独自に配信したり、避難の必要性を判断したりするものではありません。
災害後に確認したい項目を整理し、気象庁や自治体などの公式情報へ進みやすくするための確認ナビです。
災害時に困るのは「情報がないこと」より「どこを見ればいいか分からないこと」
災害時に必要となる情報は、発信元が分野ごとに異なります。
たとえば、次のように分かれています。
- 地震、津波、気象警報は気象庁
- 災害ニュースはNHKなどの報道機関
- 避難指示や避難所開設情報は自治体
- 河川や洪水情報は国土交通省
- 停電情報は地域の電力会社
- 断水や給水所の情報は自治体や水道局
- ハザードマップは国土地理院や自治体
普段であれば、検索しながら必要なページを探せます。
しかし、地震後や停電中など、落ち着いて情報を探しにくい状況では、「何を確認するべきか」「どの機関の情報を見るべきか」を考えるだけでも負担になります。
特に、地震、停電、断水などが同時に起きている場合は、確認する情報がさらに増えます。
情報そのものが存在していても、入口が分散していることで、必要な情報にたどり着くまでに時間がかかることがあります。
この「情報の入口が分かりにくい」という問題を少しでも整理するために作ったのが、災害あと確認ナビです。
災害あと確認ナビとは
災害あと確認ナビは、災害が起きたあとに確認したいことを、災害の種類ごとに整理できる無料のWebツールです。
地震、津波、大雨・洪水、土砂災害、台風、停電、断水、火災、ガス臭いといった項目から、現在起きていることや困っていることを選択できます。
選択した内容に応じて、確認したい項目や注意点が表示されます。
さらに、ページ上部には、気象庁や国土交通省などの情報へ進むためのリンクをまとめています。
このツールの主な役割は、次のとおりです。
- 災害が起きたあとに確認することを整理する
- 公式情報への入口をまとめる
- 自治体の防災情報を探しやすくする
- 家族へ送る短い連絡文を作る
- 離れて暮らす高齢家族に聞きたいことを整理する
すべての情報をひとつのページ内で表示するのではなく、必要な公式情報へ進むまでの入口を分かりやすくすることを重視しています。
実際の画面や確認項目は、次のページから利用できます。
このツールは災害速報ツールではありません
災害あと確認ナビは、災害速報を表示するツールではありません。
当初は、地震情報や災害情報をAPIから取得し、ツール内に表示する方法も考えました。
しかし、災害情報は、ひとつの発信元だけで完結するものではありません。
地震や津波は気象庁、大雨や洪水は気象庁や国土交通省、避難情報は自治体、停電は電力会社、断水は自治体や水道局など、それぞれ管理している機関が異なります。
これらをひとつのAPIで全国的に、常に正確な状態でまとめることは簡単ではありません。
また、災害情報をツール内に表示すると、公式情報との更新時刻の差や、情報が取得できなかった場合の扱いも考える必要があります。
わずかな遅れや表示上の違いが、利用者の判断に影響する可能性もあります。
地震の場合は、スマートフォンの緊急地震速報や防災アプリから通知を受け取ることも多く、災害の当事者はすでに「何かが起きた」ことを把握している場合があります。
そのときに必要なのは、災害の発生をもう一度知らせることよりも、このあと何を確認すればよいのかを整理することではないかと考えました。
そのため、災害あと確認ナビでは、災害情報APIによる速報表示を行っていません。
このツールでは、次のような判断や案内は行いません。
- 災害発生場所を知らせる
- 震源、震度、津波、警報を独自に判定する
- 避難の必要性を判断する
- 最寄りの避難所を断定する
- 安全な避難経路を断定する
- 災害情報APIを使って速報を出す
- 気象庁や自治体などの公式情報の代わりになる
あくまでも、災害後の確認事項と公式情報への入口を整理するための補助ツールです。
緊急時には、自治体、消防、警察、気象庁などが発表する情報や指示を優先してください。
災害あと確認ナビでできること
災害あと確認ナビには、災害時の情報確認を補助するための機能を入れています。
何が起きているかを選べる
最初に、現在起きていることや困っていることを選びます。
選択できる項目は次のとおりです。
- 地震
- 津波
- 大雨・洪水
- 土砂災害
- 台風
- 停電
- 断水
- 火災
- ガス臭い
選択した内容に応じて、確認したい項目が表示されます。
災害時には、長い説明を最初からすべて読むよりも、自分に関係する項目だけを確認できた方が使いやすいと考え、この形にしました。
災害別の確認事項を確認できる
地震、津波、大雨、停電、断水などでは、それぞれ確認すべきことが異なります。
たとえば地震後であれば、家の中の状況や火の元、家族の安否、停電や断水の有無など、複数の確認が必要になる場合があります。
大雨や洪水では、河川の状況、自治体の避難情報、ハザードマップなどの確認が重要になります。
ツール内では、次のような項目ごとに確認事項を整理しています。
- 地震時の確認事項
- 津波時の確認事項
- 大雨・洪水時の確認事項
- 土砂災害時の確認事項
- 台風時の確認事項
- 停電時の確認事項
- 断水時の確認事項
- 火災時の確認事項
- ガス臭いと感じたときの確認
ただし、すべての項目が通常のチェックリスト形式になっているわけではありません。
火災やガス臭いと感じた場合は、画面を見ながら順番に確認することよりも、安全確保や通報などの行動を優先すべき状況があります。
そのため、火災やガス臭いに関する項目は、通常の確認リストとは分け、行動を優先する注意カードとして表示しています。
公式情報へのリンクをまとめて確認できる
災害時には、最新の公式情報を確認することが重要です。
災害あと確認ナビのページ上部には、災害時に確認されることが多い情報へのリンクをまとめています。
主なリンク先は次のとおりです。
- 気象庁
- NHK災害情報
- 国土地理院 ハザードマップポータル
- 気象庁 キキクル
- 国土交通省 川の防災情報
- 災害用伝言板 Web171
- Yahoo!天気・災害
このツール内で災害情報を独自に再配信するのではなく、必要な情報を管理しているページへ直接進めるようにしています。
公式情報は更新されるため、ツール内の説明だけで判断せず、必ずリンク先の最新情報を確認してください。
自治体名からGoogle検索リンクを作れる
災害情報の中でも、避難所の開設状況、断水、給水所、地域の防災情報などは、自治体ごとに発表されることがあります。
しかし、災害時に毎回、
「何という言葉で検索すればよいのか」
を考えるのは意外に大変です。
そこで、都道府県と市区町村・区名を入力すると、災害時によく使う検索語句を組み合わせたGoogle検索リンクを作れるようにしました。
作成できる検索リンクには、次のようなものがあります。
- 防災
- 避難所 開設情報
- ハザードマップ
- 停電
- 断水
- 給水所
- 土砂災害
- 洪水
- 防災マップ
- 災害情報
たとえば、「神奈川県」と「横浜市鶴見区」を入力すると、
「神奈川県 横浜市鶴見区 避難所 開設情報」
「神奈川県 横浜市鶴見区 断水」
といった検索リンクを作れます。
検索結果そのものをツール側で決めるのではなく、地域名と必要な言葉を組み合わせ、自治体や関係機関の情報を探しやすくする仕組みです。
自治体名からGoogle検索リンクを作れるようにした理由

最初は、市区町村名をひとつ入力するだけでもよいと考えていました。
しかし、地域名には同じ名称が使われている場合があります。
たとえば「鶴見区」には、横浜市鶴見区と大阪市鶴見区があります。
「鶴見区 防災」だけで検索すると、利用者が探している地域とは異なる情報が混ざる可能性があります。
また、「横浜」とだけ入力した場合も、横浜市全体の情報、横浜駅周辺の情報、観光情報など、検索結果の範囲が広がりすぎることがあります。
そのため、災害あと確認ナビでは、都道府県を選び、市区町村名や区名を入力する形にしました。
たとえば、
- 都道府県:神奈川県
- 市区町村・区名:横浜市鶴見区
と入力すれば、
「神奈川県 横浜市鶴見区 防災」
という、対象地域を絞った検索リンクを作れます。
自治体によってWebサイトの構成やページ名は異なります。
全国の自治体ページをツール側で固定登録してしまうと、URL変更やページ移転への対応が必要になります。
Google検索リンクを生成する形であれば、自治体名と必要な情報の種類を組み合わせて、その時点で公開されているページを探せます。
ただし、検索結果の上位に必ず自治体の公式ページが表示されるとは限りません。
ページを開く際は、自治体名や公式ドメインを確認し、情報の発信元にも注意してください。
家族への連絡文と高齢家族への確認を入れた理由
災害時には、情報を確認するだけでなく、家族への連絡も必要になります。
しかし、地震の直後や停電中など、落ち着かない状況では、何と送ればよいか迷うことがあります。
また、家族全員から長いメッセージが送られると、状況を把握しにくくなることもあります。
そこで、災害あと確認ナビには、短い家族連絡文を作る機能を入れました。
次のような内容を選択できます。
- 無事です
- 家の中を確認中です
- 停電しています
- 断水しています
- 落ち着いたら連絡します
- 高齢家族の確認をお願いします
選択した内容を組み合わせ、家族へ送りやすい短めの文章を作れます。
災害時に必要な連絡内容は家庭ごとに異なるため、完成した文章は状況に合わせて修正して使うことを想定しています。
高齢家族には「無事か」以外の確認も必要になる
離れて暮らす親や高齢家族がいる場合、「無事ですか」と聞くだけでは状況を十分に確認できないことがあります。
本人が「大丈夫」と答えていても、実際には転倒していたり、薬や補助具が見つからなかったりする可能性があります。
確認したい項目の例として、次のようなものがあります。
- 転倒していないか
- ケガや出血がないか
- 薬は手元にあるか
- お薬手帳はあるか
- 眼鏡、補聴器、杖はあるか
- スマートフォンは充電できているか
- 水分は取れているか
- トイレは使えるか
- 一人で不安になっていないか
こうした項目は、すべての利用者に必要なわけではありません。
そのため、通常の確認項目とは分け、「高齢家族に聞きたいこと」として折りたたみ形式にしました。
必要な人だけが開いて確認できる設計です。
なお、体調やケガなどに不安がある場合は、ツール内の項目だけで判断せず、消防、医療機関、自治体などへ相談してください。
避難所や避難経路を断定しない理由
災害あと確認ナビでは、現在地から最寄りの避難所を自動的に表示したり、安全な避難経路を案内したりする機能は付けていません。
避難所や避難場所は、自治体ごとに管理されています。
また、指定されている施設が、災害時に必ず開設されているとは限りません。
災害の種類や被害状況によっては、一部の避難所が使用できなかったり、別の施設が開設されたりする可能性があります。
避難経路も同様です。
普段は通れる道路であっても、災害時には次のような状況が発生する可能性があります。
- 道路の浸水
- 建物や塀の倒壊
- 火災
- 土砂災害
- 河川の増水
- 通行止め
- 信号機の停止
そのため、ツール側が「この道を通って、この避難所へ行ってください」と断定することはできません。
災害あと確認ナビでは、避難先を独自に指定するのではなく、
「自治体の避難所開設情報を確認する」
「ハザードマップを確認する」
「自治体や消防、警察などの指示を優先する」
という導線にしています。
位置情報を使って近い場所を表示することと、その場所や経路が安全であることは同じではありません。
避難が必要な状況では、自治体が発表する避難情報や、消防・警察など現地機関の指示を優先してください。
まとめ
災害あと確認ナビは、地震や大雨などの災害情報を独自に判定するツールではありません。
災害が起きたあとに、
- 何を確認するか
- どの公式情報を見るか
- 自治体情報をどう探すか
- 家族に何を連絡するか
- 高齢家族に何を聞くか
を整理するための補助ツールです。
災害情報は、気象庁、自治体、国土交通省、電力会社、水道局など、複数の発信元に分かれています。
そのため、すべての情報をツール内に集めるのではなく、確認事項と公式情報への入口をまとめる設計にしました。
また、避難所や避難経路についても、ツール側で断定せず、自治体の避難所開設情報やハザードマップを確認する形にしています。
災害あと確認ナビだけを見れば安全が判断できるわけではありません。
緊急時には、気象庁、自治体、消防、警察などが発表する最新情報や指示を必ず優先してください。
災害後に何から確認すればよいか迷ったときの、情報整理の入口として使えるように作っています。

