私は「人生相談に近いAI占い」というWebツールを作り、公開しています。
当初は、相談内容を入力するとAIが結果を返して終わる、シンプルな仕組みでした。
しかし、自分で何度も使ううちに、人生相談としては会話が続かない点や、テキスト入力の負担が気になるようになりました。
そこで、選択式を増やしてテキスト入力を極力省きながら、結果のあとも相談を続けられる対話型ツールへ大きく改善しました。
この記事では、作り直した理由と、実際に変更した内容を紹介します。
初版を公開して気付いたこと
初版の「人生相談に近いAI占い」は、必要な情報を入力し、AIから返ってきた結果を読むという構成でした。
流れを簡単に表すと、次のようになります。
入力する
↓
AIが占い結果を返す
↓
終了
操作が分かりやすく、初めて使う人でも迷いにくい点は、この仕組みの良いところでした。
複雑な設定もなく、相談したい内容を入力すれば、その場で結果を確認できます。
最初に作ったツールとしては、十分に役割を果たしていたと思います。
ただし、公開して終わりにせず、自分でも繰り返し使ってみると、作っている途中では気付かなかった部分が見えてきました。
ツールを作っているときは、入力内容が正しく送信されるか、AIから結果が返ってくるか、画面が崩れていないかといった部分に意識が向きます。
そのため、機能が動くようになった時点で、完成したように感じてしまいます。
ところが、実際に利用者と同じ立場で何度も使ってみると、「動くかどうか」と「使い続けたくなるかどうか」は別の問題だと分かりました。
結果の文章自体は悪くありません。
相談内容に合わせて状況を整理し、考えるきっかけになるような内容も返ってきます。
それでも、何度か使ううちに、結果を読んだあとにもう少し質問したいと感じることが増えてきました。
たとえば、仕事について相談した結果を読んでも、
「この部分をもう少し詳しく聞きたい」
「別の考え方も知りたい」
「では、実際に何から始めればよいのか」
といった疑問が残ります。
しかし、初版には、その続きを相談する仕組みがありませんでした。
この点に気付いたことが、今回の改善を始めるきっかけになりました。
「入力して終わり」が物足りなかった
初版で一番大きな課題だと感じたのは、一度結果を読んだら終わってしまうことでした。
人生相談という言葉からは、相談する側と相談を受ける側が、何度かやり取りを重ねる場面を想像します。
最初から悩みがきれいに整理されているとは限りません。
自分では仕事の悩みだと思っていても、話を続けるうちに、実際には人間関係への不安が大きかったと気付くこともあります。
お金の悩みについて相談しているうちに、将来への不安や、自分に対する自信のなさが関係していると分かる場合もあります。
相談は、一度の質問と回答だけで終わるものではありません。
ところが、初版のツールでは、利用者が入力した内容に対してAIが長めの文章を返し、それで終了していました。
見た目は相談結果でも、仕組みとしては一方向です。
AIとの対話というより、入力内容に応じた文章を表示するツールに近い状態でした。
もちろん、短時間で結果だけを見たい人にとっては、この仕組みでも問題ありません。
しかし、私が作りたかったのは、単に占い結果のような文章を出すだけのツールではありませんでした。
未来を決めつけるのではなく、今の状況を整理し、次にどう考えるかのきっかけを作ることが目的です。
それならば、最初の結果を表示したあとに、もう少し相談を深められる仕組みが必要ではないかと考えるようになりました。
最初の回答ですべてを解決しようとすると、どうしても文章が長くなります。
反対に、短くまとめると、内容が浅く感じられる場合があります。
一度ですべてを返すのではなく、まず全体を整理し、そのあと気になる部分について対話を続ける方が、人生相談に近い形になります。
この気付きから、初版の仕組みを部分的に修正するのではなく、相談の流れそのものを見直すことにしました。
対話型へ改善した理由
改善版では、最初の診断結果を表示したあとに、気になる内容をさらに相談できる仕組みを追加しました。
これにより、AIから結果を受け取って終わるのではなく、その内容をもとに、もう一段深く考えられるようになりました。
たとえば、仕事について相談した場合、最初の結果では現在の状況や考えられる選択肢が表示されます。
そのあと利用者が、
「転職を急がない方がよい理由を詳しく知りたい」
「今の職場に残る場合、どこを見直せばよいか」
「自分の考え方に偏りがないか」
といった質問を追加できます。
最初の回答を読んだからこそ、新しく気付く疑問もあります。
その疑問を続けて相談できれば、利用者は結果を受け取るだけでなく、自分の考えを少しずつ整理できます。
今回の改善で重視したのは、AIに長い答えを一度だけ出させることではありません。
相談する側が、気になった部分を自分の言葉で聞き直せる流れを作ることです。
AIの回答が常に正しいとは限りません。
利用者の人生を決めるものでもありません。
それでも、質問を変えたり、別の視点から聞いたりすることで、自分だけでは思い付かなかった考え方に触れられることがあります。
対話型に変更したことで、ツールの役割も少し変わりました。
初版は、相談内容を入力して結果を受け取るツールでした。
改善版は、最初の結果を入口として、その後の対話を通じて考えを整理するツールに近づいています。
最初から完璧な答えを求めるのではなく、会話を重ねながら、自分にとって納得できる考え方を探していく。
その流れを作れたことが、今回の改善で最も大きく変わった部分です。
相談相手を「考え方」として設計し直した
改善版では、相談相手を選べる機能も追加しました。
選択できる相談相手には、次のような種類があります。
- 占い師
- 親友
- 会社の上司
- 教育者
- 芸術家
- 哲学者
相談相手を変えると、同じ悩みでも回答の方向性が変わります。
実際に使ってみると、「親友ならどう答えるか」「哲学者ならどう考えるか」と、相談相手を変えながら何度も試したくなると感じました。
そのため、回数をあまり気にせず使えるように、1日の使用上限は100回に設定しています。
親友に相談すれば、気持ちに寄り添いながら考える方向になります。
会社の上司であれば、仕事上の現実や優先順位を意識した見方になります。
哲学者であれば、すぐに結論を出すのではなく、悩みの前提や価値観を問い直すような考え方になります。
ただし、今回の改善では、AIにその職業の人物をそのまま演じさせる設計にはしませんでした。
たとえば、「私は経験豊富な会社の上司です」と名乗らせたり、実在する専門家のように振る舞わせたりすることが目的ではありません。
相談相手の肩書きは、回答の考え方や判断基準を選ぶためのものです。
「会社の上司」を選んだ場合は、仕事の優先順位、組織の事情、現実的な選択肢を重視します。
「親友」を選んだ場合は、相談者の気持ちや無理のない選択を重視します。
「芸術家」を選んだ場合は、常識だけに縛られず、別の可能性や表現の仕方を探します。
つまり、職業や立場を演じるのではなく、それぞれが持つ考え方の特徴だけを回答に反映する仕組みです。
この設計にした理由は、AIを本物の占い師や上司、教育者の代わりとして見せたくなかったからです。
AIは、利用者の状況をすべて理解しているわけではありません。
責任を取ることもできません。
一方で、相談内容を複数の視点から眺めるための補助役としては活用できます。
同じ悩みでも、立場を変えて考えることで、見え方が変わることがあります。
自分では「今すぐ決めなければならない」と思っていても、別の視点から見ると、「今は情報を集める段階」と考えられるかもしれません。
自分では欠点だと思っていることが、別の立場からは強みに見える場合もあります。
相談相手を選ぶ機能は、正しい答えを選ぶためではなく、考え方の幅を広げるために追加しました。
未来を断定しない方針は変えていない
仕組みは大きく変更しましたが、未来を断定しない方針は初版から変えていません。
このツールの目的は、将来を言い当てることではなく、今の悩みや状況を整理することです。
AIに答えを決めてもらうのではなく、利用者自身が考えるための材料を増やす。改善版でも、その考え方を大切にしています。
まとめ
初版は、相談内容を入力するとAIが結果を返して終わる仕組みでした。
改善版では、テキスト入力を極力省き、結果のあとも相談を続けられる対話型へ変更しました。
自分で使っているうちに、相談相手や入力内容を変えながら、いろいろなパターンで試したいと感じるようになりました。そのため、回数を気にせず使いやすいように、1日の使用上限を100回に設定しています。
また、相談相手ごとの考え方を反映できるようにし、以前よりも人生相談に近いツールになったと感じています。
今後も、自分で使って気付いた点や利用者の意見をもとに、少しずつ改善を続けていく予定です。
現在のツールの内容や使い方については、以下の記事で紹介しています。
また、最初にこのツールを作った理由や、初版で大切にした考え方については、こちらの記事にまとめています。

